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タマモ:わらわの名は……うーん、何じゃ忘れてしもうたわ
タマモ:御魂が祀られんようになって幾百年か……そりゃ思い出せぬはずじゃ……
タマモ:社は朽ち果て、かつては御神体と崇め奉られた山も切り崩されその上に珍妙な石の箱が建った
タマモ:それはガッコウと言うらしい……若い男女が泣いたり笑ったりと実に騒々しい所じゃ……
タマモ:じゃが、いつからであったろうか……わらわが、そのガッコウに憧れを抱くようになったのは……
タマモ:いつからであろう……そこで、皆に混ざって……人間を……やって、みたいと……
タマモ:しかしガッコウの中を彷徨いても……だぁれもわらわには気づかん……
タマモ:所詮わらわは影も形もない者
タマモ:仕方のない仕方のないことなんじゃ……
タマモ:ふぁ……あれ? なんじゃここは?わらわは、どうなっとるんじゃ?
ハント:……気がついたか
タマモ:!?そなたにはわらわが見えるのか!?
ハント:……当たり前だろう。頭でも打ったか
タマモ:わ、わらわは……何で、ここにおるんじゃ?
ハント:僕が聞きたいくらいだ気がついたらこの世界にいたそれくらいしかわかっていない
タマモ:いや、そういう意味で言っておるわけではなくてだな……
ハント:近くに倒れていたから連れてきたが……お前、まさか地球から来たのではないのか?
タマモ:うーん、どうも要領を得ぬが……どうやらわらわは、不思議な力で受肉したようじゃの
タマモ:まさか、遊び半分で乗っていたガッコウのバスで……?
ハント:よく見ると、その耳と尻尾……お前はこの世界の住人なのか?
タマモ:え、耳と尻尾?
タマモ:って、何じゃこれはーーーー!?ちょっと何で? 何で中途半端なの?
ハント:答えろ……お前、何者だ
タマモ:ちょ、ちょっと待って! 同じだよ!地球人! わらわも巻き込まれて気がついたら、ここに……
ハント:名を名乗れ
タマモ:え、名前!?えーと、えとえと……
ハント:怪しいやつ
タマモ:た、たまも! 葛葉たまもだよ!
タマモ:どうしよ、出任せ言っちゃった……
ハント:……そうか僕は狩生ハントだ
タマモ:え、何それ……自己紹介?ってか信じてくれるの?
ハント:…………
タマモ:何なのじゃ、愛想のないやつめ
タマモ:しかし、わらわの身体……実体化しておるじゃと……?
タマモ:ぬふふふ、ようわからんが念願かなったりなのじゃ~♪
タマモ:ぬは、安心したらお腹が……
ハント:フン、腹が減っているのなら素直にそう言え
タマモ:わらわだってレディなの!気を遣ってくれてもいいでしょ
ハント:……くだらん
タマモ:ちょっと! 置いてかないでよ!
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タヌヒコ:お疲れぃ
タヌヒコ:肉、早く持ってきてくれな!
タマモ:1
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タマモ:ちょっとちょっと!何で焼いちゃうのよ!
ハント:は?
タマモ:こんな新鮮でいいお肉だよ?焼いちゃうなんてもったいない!
ハント:お前は死にたいのか
タマモ:死にたいわけないでしょ!
ハント:異世界のモンスターの肉だぞ未知の細菌や毒、寄生虫何があるかわかったものじゃない
ハント:それでも生肉を食いたいと言うのなら僕はもう止めはしないがな
タマモ:……え、そうなの?
ハント:よし、お前はこっちのまだ焼いていない肉を食え
ハント:僕はこの、よく焼けた美味そうな肉を食う
タマモ:だめだめだめ! もっと!もっとこんがり!ウェルダン! ウェルダン!
ハント:フン、最初からそう言えばいい
タマモ:ぐぬぬぬ、こいつ……ホントに意地の悪いやつじゃの
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-:ある日、葛葉たまもは現地のラクーン達と話していた
-:しかし、どういう訳だろう彼女の周囲にはいつも決まって老人達の輪ができるのだった
タイゾウ:のうのう、たまちゃんや
タマモ:ん? おじいちゃん、どうしたの?
タイゾウ:お米が古くなってしもたんじゃが美味しう食べる方法はないもんかのう
タマモ:そんなの簡単だよサラダ油かハチミツを大さじ1杯入れて炊くと臭いが消えるよ
タイゾウ:うーん、それは残念じゃのうどっちも持っておらんのんじゃ
タマモ:だったらお酒あるでしょう?あれを大さじ1杯入れてもできるよ
タイゾウ:おお! それならたくさんあるぞい!早速ばあさんに言って試してもらおう
オマツ:ねえねえ、たまちゃんや木の床を綺麗にしたいんじゃが何かええ方法はないもんかのう?
タマモ:米の磨ぎ汁を使うといいよ
オマツ:えー、そんなんでいいのかい?
タマモ:霧吹きでシュッシュってやって乾いた布で拭き取るのワックスみたいにピッカピカだよ
オマツ:本当かい! すぐに試して見るよ!ありがとうね、たまちゃん
タマモ:うーん、やはりこうなってしまうか
タマモ:地球でもそうじゃったがどこにあっても、神様というものは老人達のアイドルになる定めよのう
タマモ:ん? 何じゃ?そこにおるのは誰じゃ
-:物陰に隠れてうかがっている小さな存在に気づいたたまもはそっと近づいて声をかける。
-:それは小さなラクーン人の少年だった。
ゲンタ:…………
タマモ:ん? どうした?わらわに何か用か?
ゲンタ:お願いだよ、ガイアスのお姉ちゃんお母さんの病気を治して欲しいんだ
タマモ:病気とな? うーん……それはちと難しいのう
ゲンタ:何でだよ! 何でも知ってるんだろ!
タマモ:どうじゃろ、一応聞いてやるがどんな症状で苦しんでおるんじゃ?
ゲンタ:頭が痛くて、身体がだるいってそれに熱もあるし、喉も痛いって昨日からずっと咳が止まらないんだ
タマモ:それは風邪じゃろうお医者様に見せた方がええのう
ゲンタ:うううぅ、うちにはお金がないんだよそんなの無理に決まってんだろうぅ
タマモ:そんなことを言われてものう……
ゲンタ:お姉ちゃんの嘘つき!ぼくにだけ教えてくれないなんてケチんぼだーーーー!
タマモ:はぁ、やれやれなのじゃ少し散歩でもして落ち着いてくるかの
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タヌヒコ:たまもっち、お疲れぃ
タヌヒコ:お願いがあるって聞いたけど何でい?
タマモ:散歩をしていたらね
タマモ:立派な梅の木を見つけたんだよ
タマモ:それでね
タマモ:つい張り切っちゃって梅の実がたくさんとれたんだけど
タマモ:これって梅干しにできないかな?
タヌヒコ:悪りぃな、おいらにはできねえ
タマモ:そっかー、やっぱり無理かー
タヌヒコ:あ、でも
タヌヒコ:町の業者を紹介することはできるぜ
タマモ:ホントに!? すごく助かるよ!
タヌヒコ:お礼なんていんねえよ
タヌヒコ:たまもっちには世話になってるしなこれはサービスでい
タマモ:それじゃ、今から持ってくから業者さんに連絡お願いね
タヌヒコ:おう、待ってるぜい
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ゲンタ:お姉ちゃーーーーん!
タマモ:うん? 源太じゃないかどうした、そんなに慌てて
ゲンタ:お姉ちゃんの言った通りにしたらお母さん、元気になったよ!
タマモ:そうかそうか、よかったのう
ゲンタ:でも、不思議だなぁ梅干しを焼いて、お茶に入れて飲むだけで治っちゃうなんて
タマモ:梅干しには疲労回復、免疫力向上保温、と昔から色々と効能があって珍重されておるからのう
タマモ:わらわはそれを覚えておっただけじゃ
ゲンタ:ねえ、ガイアスのお姉ちゃんって本当にお姉ちゃんなの?
タマモ:どういう意味じゃ?
ゲンタ:ほら、そのしゃべり方だよ色んなこといっぱい知ってるしまるでお婆ちゃんみたいだ
タマモ:んなっ!?
タマモ:な、ななな、何をこやつは何を言うておるんかのう
ゲンタ:あはははは、変なのーまあ、お姉ちゃんが何だって僕はいいけどねー
ゲンタ:ありがとうね、ガイアスのお姉ちゃん
タマモ:ふう……
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オサヨ:ねえねえ、お姉ちゃんお小夜ね、気づいちゃった
タマモ:気づいたって、何に?
オサヨ:お姉ちゃんって、うちらの仲間でしょ
タマモ:仲間? 何でそう思うの?
オサヨ:だって、私達ラクーン人は別の姿にも変身できるからねそしたらおそろいでしょ?
-:ラクーン少女はそう言うと頭の上で両手を立ててぴこぴこと動かした
タマモ:……あー、耳と尻尾のことか
タマモ:でも残念、違うんだなぁこれが
オサヨ:えー、違うの?
タマモ:うん、わらわのはコスプレなのほらほら、カワイイでしょ?
オサヨ:こすぷれ? なあにそれ
タマモ:うーん……変装? 仮装?
オサヨ:うーん、よくわかんないけどやっぱり、お姉ちゃんも仲間ってことでしょ?
タマモ:あはは……参ったなーうーん、全然違うんだけどどう言えばわかってくれるのやら
オサヨ:お姉ちゃんの尻尾、すごくきれい!ふさふさで、つやつや!
タマモ:ふひゃい!?
オサヨ:あはははは……何か、変な声出たー!
タマモ:こ、こら!わらわの尻尾に触れるでない!
オサヨ:えー、なんでなんでーこんなに気持ちいいのにー
タマモ:ひゃ、ひゃわわわわや、やめい、くすぐったいのじゃ!
オサヨ:やだよー、やめないもんねー
タマモ:やぁ、ら、らめぇ、耳ふぁぁーくぅぅぅぅっ、ふわぁぁぁぁー
オサヨ:えへへ、ふかふかーいいなぁ、お姉ちゃんのお耳いいなぁ
タマモ:ええい、やめいと言うておろうがっ!いい加減にするのじゃ、小童め!
オサヨ:え……
タマモ:ありゃ、やってしもた……!
タマモ:いや、その……耳と尻尾は敏感での、つい
オサヨ:うわああああああああああああん
タマモ:あわわわわ、許してたもれああ、もう……
ハント:フン、お前にも苦手なものがあったのだな
タマモ:ハントっち!?アンタ、いつからそこに
ハント:いいことを聞かせてもらったそうか、お前はそこが弱点か
タマモ:なっ、お主、触る気か!?
タマモ:冗談じゃない、まだ男には誰にも触らせたことのないもふもふじゃ
タマモ:ふうううう……ちょっとでも触れてみい噛みついてやるからのう!
ハント:くだらん、そんなもの誰が触るか
タマモ:ぐぬぬぬぬ……1番知られとうないのに知られてしもうたわー!!
-:ある日、葛葉たまもはラクーンの青年に案内されて近くの山に山菜を採りに来ていた。
-:長い山道を歩いていた青年がふと、振り返って気づく。
-:たまもが立ち止まり、何かを前にして一心に手を合わせているのだった。
ヤマヒコ:ちょっと、たまもさん!何やってるんですか早くいかないと日が暮れちゃいますよ
タマモ:ちょっとだけだから待っててよ、山彦
ヤマヒコ:まったくもう、自由な人だなんで、何してるんですか?
-:そう言って若者が近づいてみるとたまもが拝んでいたのは古びて廃れた小さな祠だった。
ヤマヒコ:何かと思ったら、祠ですか
タマモ:古いみたいだけど、いつからあるの?
ヤマヒコ:うーーん、いつからでしょうね僕が小さい頃にはありましたけど
タマモ:かわいそう……
ヤマヒコ:え
タマモ:この神様だって、昔はきっと土地の皆に愛されて、多くの恵みをもたらしてくれてたんだよね
ヤマヒコ:えー、嘘でしょう?たまもさんって神様信じる人ですか?
ヤマヒコ:最近は神様とか気にする人少ないですからねえ
タマモ:そうなんだ、哀しいことだね
タマモ:神様はね、信じてくれる人がいなくなっちゃうと霊威を失ってしまうんだよ
タマモ:そうなっちゃった神様はもう2度と……
ヤマヒコ:それは仕方がないですよ今はそんな時代ではないですから
タマモ:よし、決めた!
ヤマヒコ:決めたって何をですか?
タマモ:祠を綺麗に掃除して建て直すのお供えもして、ちゃんとお祈りしよ
ヤマヒコ:えー、本気ですか?
タマモ:わらわは嘘なんてつかないよいつだって本気だもんね
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タヌヒコ:たまもっち、お疲れぃ
タヌヒコ:ふふ、聞いたぜ
タヌヒコ:祠の修繕をしてくれてるんだってな
タマモ:思いつきで言いだしたから山彦さんに迷惑をかけちゃった
タヌヒコ:そんなことないぞ
タヌヒコ:山彦だって本当は嬉しいはずでぃ
タヌヒコ:おいらだって皇女様に仕える身として良いことだと思ってるぜい
タマモ:ありがとう
タヌヒコ:おいらも少し手伝いさせてくれい
タヌヒコ:[item:202102431(建築用の角材)]を持ってきてくれれば皇女様の祝福を与えるんでい
タヌヒコ:動物やモンスターの悪戯を抑止して風雨の腐食を遅らせる効果があるんでい
タマモ:おお、いいねそれ!
タマモ:すぐに行くから待ってて!
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タマモ:よし、できた!
ヤマヒコ:ふえー、やっと終わったぁ
タマモ:ほら、見てごらんよすっごく嬉しそうにしてる
ヤマヒコ:えー、そうですか?あんまり変わってない気が……
タマモ:ダメだよ、せっかく綺麗にしたのにほら、こっちに来て一緒に祈ろ
ヤマヒコ:えっと、こうですか?何か、ちょっと恥ずかしいですね
タマモ:ふざけないの、もっと真剣に日頃の感謝の気持ちを伝えてあげて
ヤマヒコ:はいはい、わかりましたよ
ヤマヒコ:あれ……何ですか、これ?突然、雲が晴れて光が……
タマモ:ありがとうって言ってるんだよ
ヤマヒコ:そんな、そんなことって……
タマモ:ほら、あそこにも光が差してるのわかる?
ヤマヒコ:ええ、東の方ですね
タマモ:あそこに山菜がたくさん生えてるから好きなだけ持っていっていいってさ
ヤマヒコ:……嘘でしょう!?それも神様が……?
タマモ:だから、わらわは嘘なんてつかないよ
ヤマヒコ:…………
タマモ:どう? 少しは信じる気になった?
ヤマヒコ:わかりません
タマモ:そっか、急には難しいよね
ヤマヒコ:でも、次ここを通るときは何か美味しいもの持ってきます
タマモ:ふふ、そうだねきっとこの子も喜ぶよ
ヤマヒコ:いや、恐れ入りましたたまもさんって不思議な人ですね
タマモ:ふふふ、さあ、急ごう!山菜採って帰ろ~
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-:葛葉たまもは、とある村人から不思議な花の存在を聞いた。
-:その花を是非見てみたいと思い狩生ハントを誘って山を登っていた。
ハント:チッ、たかが花のためにどうしてこんな苦労を……
タマモ:いいでしょ、こんな珍しいお花滅多に見られないんだから
ハント:そんなものを見て何が楽しいんだまったく、時間の無駄だな
タマモ:そんなことないと思うけどな特にハントっちにとっては……
ハント:ん、何か言ったか
タマモ:何でもないよ、早く行こう♪
タマモ:うわぁ、すごーーい!見て見て、ほら、すごくきれい!
ハント:どこがだまだ咲いてもいない、蕾ばかりだ
タマモ:それでいいんだよ
ハント:何だと
タマモ:ほら、そろそろ来るよ
ハント:こ、これは……朝日を浴びて、花が一斉に咲いていく
タマモ:この花はね1年に1度しか咲かないのしかも……
ハント:おい、どうなっている咲いたと思ったら、今度は一斉に花びらを散らし始めたぞ……
タマモ:そう、だからこの花の名は花火草と言うの
ハント:……儚いものだな
ハント:こいつらは、何のために生きて何のために散っていくのだろう
タマモ:そうかなーこやつらはそうは思ってないとわらわは思うけどなあ
ハント:どういう意味だ
タマモ:一瞬しか咲けない運命を知りつつも懸命に生きて、咲いて、散る
タマモ:その意志と行動を何故恥じる狩生ハント
ハント:ぐっ……
タマモ:後ろを向かず、まっすぐに散る明日を想えるからこそ今が、斯くも美しいのであろう
タマモ:だからこそ、お主のような者の心を強く打ったのじゃろうて
ハント:それが……わざわざ僕を誘った理由か
タマモ:ありゃー、バレちゃったか?
ハント:まったく、小賢しい女だ
タマモ:だってアンタ、危なっかしいんだもん生き急いでるところあるしさ
ハント:フン、知ったような口を叩くな心配無用だ、僕のことは僕が考える
タマモ:うーん、相変わらず頑固だのうもう少し頼ってくれてもいいのに
ハント:だが、悪くはなかったいい気晴らしになったかもな
タマモ:今、何て……?
ハント:何でもない
タマモ:ほう、どうやら甲斐はあったみたいじゃの、ぬふふ……
ハント:ぼさっとするな、下山するぞ
タマモ:はいはい、行きますよー