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タヌヒコ:今日はおめえらがよーく知ってる奴らからの依頼が届いてるぜい!
サリ:沙璃達の知り合いですか?
オメガ:誰だ? オメガ、気になる!
タヌヒコ:オーキューのカリンと美佐だぜいおめえらも世話になったろ?
ハント:ああそれで、あの2人が僕達に何の用なんだ?
タヌヒコ:なんでもクリスマスパーティの準備を手伝ってほしいらしいんでい
オメガ:クリスマス!オメガ、クリスマスやったことない!
ハント:こっちの世界にもクリスマスはあるんだな
サリ:沙璃達が思っているよりも文化の共通点が多いようですね
タヌヒコ:昔のガイアス達が伝えた文化の1つなんだろーな
タヌヒコ:で、どうでい? ここはひとつ受けてやってくんねえか?
オメガ:クリスマス、してみたい!オメガ、準備の手伝いする!
ハント:緊急事態ならともかく僕達が手伝う必要があるのか?
オメガ:ハント、いじわる!
ハント:意地悪というか……僕らにはやるべきことが多いだろう
サリ:地球に戻るまでずっと、そうして張り詰めているおつもりですか?
ハント:そんなつもりはないしかし……
オメガ:楽しく手伝いするの悪くない!
サリ:沙璃もそう思いますカリン様はきっと、沙璃達を招待してくれたのだと思いますよ?
タヌヒコ:んじゃ、決まりってことでかまわねーな?
オメガ:大丈夫、オメガ達におまかせ!
サリ:はい、喜んでお手伝いします
ハント:いや、待ってくれ勝手に――
タヌヒコ:よっしゃ、頼んだぜい!こっちの世界のクリスマスもしっかり堪能してくれい!
オメガ:わーい!オメガ、クリスマス初めて!堪能する! 堪能する!
サリ:ハント様?オメガ様はもうすっかりその気のようですよ?
ハント:……もうわかった手伝えばいいんだろう
サリ:ふふっ。決まりですね
サリ:それではオーキューへ向かいましょう
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カリン:よく来てくれたわね、みんなパーティへようこそ!
カリン:とは言っても準備はこれからだけどね
サリ:本日はお誘い感謝いたしますカリン様、とてもお似合いですよ
カリン:少し気恥ずかしいけれどねこればっかりは毎年、大人の義務なの
ハント:少なくともサンタの見た目は僕らの世界とあまり変わりないんだな
オメガ:すっごく賑やか!子ども、いっぱいいる!
ミサ:みんなー、やっほー!来てくれたんだねー!
オメガ:美佐の格好、強そう!新型のアーマーか!?
ミサ:えへへ、似合う似合うー?お姉ちゃん、お兄ちゃん今日は来てくれてありがとね!
カリン:美佐、ちゃんと靴下は持ってきた?
ミサ:うんっ!ちゃんと一年、大事に履いたやつ!
サリ:……靴下、ですか?そういえば――
ハント:ああ、ここに集まった子ども全員靴下を持ち寄っているようだ
サリ:それも、とても年季の入ったお品物のようですね……
オメガ:どうしてみんなボロボロの靴下持ってきてる?
ミサ:サンタさんにプレゼントをもらうために決まってるじゃん!
ハント:……ん?
オーキュー子ども1:僕は穴が空いても使い続けたよ!
オーキュー子ども2:俺なんてちょっと臭くなってきたぜ!
ミサ:これならきっとサンタさんも喜んでくれるよねっ
ハント:古い靴下でサンタが喜ぶ……?
サリ:サンタクロースは靴下にプレゼントを入れてくれるのが通説ですが……なぜわざわざ使い古しの品を?
カリン:貴方達も、クリスマスは知ってるのよね?
サリ:はい。ですが沙璃達の知っているクリスマスと少し違うようです
オメガ:オメガ、どっちのクリスマスもよく知らないカリン、美佐、教えてほしい!
カリン:ええ、構わないわ
ミサ:サンタは靴下が大好きなの!特に古いやつほど目がないの!
ハント:ちょっと待てすでにおかしい
カリン:大切に使い続けた物ほど豪華なプレゼントがもらえるのよね
ミサ:用意した靴下は寝る時に枕元へ置いとくんだよっ
カリン:そして翌朝、目が覚めた時プレゼントと靴下が交換されているというわけ
サリ:交換なのですか……?靴下にプレゼントを入れてくれるのではなく……?
オメガ:オメガのはいている靴下はきれい……残念……
ミサ:だから1年間がんばって靴下を大事に履き続けるんだーね、みんな!
ハント:……地球の文化がねじ曲がって伝わってないか?
サリ:……確かにほのかに倒錯的な香りがします
オメガ:サンタ、ヘンタイなのか?
ハント:まさか、そんなことは…………どうなんだろうな
サリ:ここは地球とは違う世界ですしそんなことはありません
サリ:……と断言できないかもしれません
サリ:ですが皆様とても楽しそうなので気にせずいきましょう
ハント:気にしないでいいところなのか……?
オメガ:サンタがヘンタイならオメガ達がやっつければいい!
-:こちらの世界のサンタへのほのかな疑惑を抱きつつもクリスマスパーティの準備に取りかかるハント達。
-:和気あいあいと作業を進めていく一行であったが
-:――事件は唐突に起こった。
オーキュー子ども1:ハ、ハントお兄ちゃん!大変だよ! どうしよう!?
ハント:ちょっと待ってくれ早く獲物の血抜きをしないと肉が生臭くなって――
オーキュー子ども1:それどころじゃないよ!靴下が空を飛んでるんだ!
ハント:遊びなら後で付き合ってやる今は手が離せないんだ
オーキュー子ども1:いいから上を見て!本当に飛んでるんだよ! 靴下が!
ハント:いい加減にしろだいたい靴下が空を飛ぶはず……
ハント:――靴下が空を飛んでいる!?
-:ハントが見上げた視線の先――
-:子ども達が持ち寄った大量の靴下が空中に舞い上がっていた。
オーキュー子ども1:ど、どうなってるんだよっ!?
オーキュー子ども2:俺の……俺の臭い靴下が!!
サリ:……ええと、ハント様?靴下に擬態するような鳥類ははたして存在するのでしょうか?
ハント:いてたまるか、そんな生き物!
オメガ:すごい! 空を華麗に飛ぶ靴下!
ハント:一体、何が起きているんだ……?
オーキュー子ども1:ま、待ってよっ僕の靴下!
オーキュー子ども2:せっかく大切に履いてたのにっ!
ミサ:私のも、飛んでっちゃった……
-:呆然とする一行をあざ笑うように空に舞い上がった大量の靴下はやがて空の彼方へ消えていった。
カリン:……一体、何事だっていうの?こんなの前代未聞じゃないの……
ミサ:プレゼント……もらえなくなっちゃった……
オーキュー子ども1:サンタ、ついに靴下だけ欲しくなったのかな……
オーキュー子ども2:せっかく1年、頑張ったのに……
サリ:……どうしましょう、カリン様?これではクリスマスパーティどころでは、とても――
カリン:そうね……残念だけれど、今の怪現象がまたいつ起こるかわからないし……
ミサ:そんなぁ……
ハント:…………
-:待ちに待った楽しみを突然奪われ悲しげな顔で立ち尽くす子ども達。
-:そんな彼らの様子をハントは黙ってじっと見つめていた。
サリ:あの……ハント様?
ハント:――何が起きているのか原因を探った方がいい
ミサ:ハントお兄ちゃん……調べてくれるの?
ハント:放置すれば、さらに大きな事件に発展する恐れがあるリスクは排除しておきたい
ミサ:本当!?じゃあ靴下も返ってくるかな!?
ハント:僕の知ったことじゃないだが、頭の片隅には入れておく
ハント:……なんだ、沙璃?何を笑ってる?
サリ:ふふっ、何でもありません確かにハント様の言う通りですね
オメガ:沙璃、どうして楽しそうなんだ?
サリ:楽しいというよりも嬉しいが近いでしょうか
オメガ:オメガ、よくわからない……
ハント:時間が惜しいまずは周辺を調べてみよう
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ハント:手掛かりになりそうな物を手に入れたぞ
ハント:202500101
カリン:それは、モンスターの牙…?
ハント:遭遇したモンスターの異常行動を確認した
サリ:具体的には、先ほどパーティ準備をしたまま持ち出してしまった品物…
サリ:お菓子や飾り付けといったクリスマスグッズに執着していました
オメガ:35
カリン:確かに奇妙ね…今まではこんなことなかったわ
ハント:一度コイツを持ち帰る調べてみてもらえないか?
カリン:3
サリ:何か良くないことが起きているのでしょうか
ミサ:サンタさんの仕業なのかな…?
オメガ:クリスマスの邪魔するのオメガ、許せない!
サリ:一度カリン様の所へ戻りましょう
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カリン:……確かにこの牙からは妙な気配を感じる
カリン:これがあれば原因を調べられそうだわ
カリン:少し時間をちょうだい
ハント:わかった、よろしく頼む
オメガ:美佐達みんな、クリスマスとっても楽しみにしてたオメガ、事件解決したい!
ハント:……そうだな
サリ:サンタ様のことを悪い人だと思わなければいいのですが……
オメガ:サンタ、いい人なのか?
サリ:沙璃はそうだといいな、と思ってます
オメガ:沙璃、サンタと会ったことないのか?
サリ:ふふ、どうなのでしょうね?もしも記憶が戻ったら改めてお答えいたしますから
サリ:ですが、会えていたらいいな……とは思います
オメガ:子どもの古着を集めるヘンタイなのにか?
ハント:いや、少なくとも僕らの世界のサンタは違うからな
サリ:良い子にプレゼントを届けてくれるんですよ
オメガ:オメガも良い子!
オメガ:子どもの古い靴下が好きな優しいヘンタイおじいさんオメガのところにも来るかな?
ハント:だから違うと言っているだろう……
オメガ:ハント、やけにサンタの肩持つ!もしかして会ったことあるのか!?
ハント:…………幼い頃、父親と冬山で狩りをした
ハント:山小屋で火を炊いて、狩った獲物でクリスマス料理らしいものをこしらえてみたりもしたな
オメガ:ふむふむ……
ハント:翌朝起きたら、寝袋のそばにプレゼントが置いてあったよ
オメガ:おー! サンタ来てる!
ハント:後になってサンタがまさか父とは……あ
オメガ:……?チチがどうした?牛乳もらったのか?
ハント:いや、なんでもない忘れてくれ
サリ:サンタ様の正体を知ってショックだったんですね
オメガ:サンタの正体っ!?やっぱり、知ってるのか!?
サリ:ふふ……さあ、どうでしょうね?
サリ:ですが地球のサンタ様はきっと優しいおじいさんですよ
オメガ:カリンはサンタじゃない?
サリ:サンタ様の格好をしていますがカリン様は違いますね
オメガ:沙璃がアレ着たらサンタになる?
サリ:……あ、あのような愛らしい服は沙璃が着ても似合わないと思いますよ?
サリ:き、着てみたいなどとは……その、決して……
ハント:似合う似合わないではなくサンタになれるかどうかの話じゃないのか?
サリ:あ……そ、そうですね失礼いたしました……
サリ:どのみち、格好だけではサンタ様にはなれないと思います
オメガ:そうか……
オメガ:でもサンタになれなくても靴下取り返すなら、できる!
サリ:その通りです、オメガ様必ず犯人を見つけてこらしめてあげましょうね
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カリン:持って帰ってきてくれた牙を調べ終わったわよ
カリン:やはり微かな魔力を帯びてたわ
ハント:それは珍しいことなのか?
カリン:ええ自分の持つ魔力じゃなくて外から影響を受けたみたいなの
サリ:誰かに魔法をかけられたということでしょうか?
カリン:意味合い的にはそれに近いわこれは仮説なんだけれど……
カリン:モンスターは犯人が広域で使った魔法の影響を受けたんじゃないかしら
オメガ:靴下が飛んで行ったやつ……あれ、魔法だったのか?
カリン:ええ。そうとしか考えられないわ
カリン:犯人は靴下を奪うためはるか遠くから魔法を使った――
カリン:けれど、そのせいで魔力の残滓が広い範囲に広がり、その影響は周辺のモンスターにまで及んだ
ハント:魔法の使い手を追跡する方法は?
カリン:特定の魔力の痕跡を追う方法もないわけじゃないわ
カリン:専用の魔法薬があれば犯人の足取りを追えるかも
サリ:光明が見えてきましたねそれではさっそく、その薬を……
カリン:でも色々と材料が必要なのよねというワケで~……
ハント:……集めてくればいいんだな
カリン:うふふ、ご明察頼りにしてるからね、みんな!
オメガ:了解!オメガ達に任せる!
サリ:それにしても――なぜ犯人はこんな手段をとってまで靴下を集めたりしたのでしょう?
オメガ:穴が空いたのとか臭う靴下が大好きだから?
ハント:即答するな、そんなこと
オメガ:サンタはすごくヘンタイだからクリスマスまで我慢できなくて……不思議な魔法、使った?
サリ:不思議な魔法の使い道が不純すぎます……
カリン:それは……あまり想像したくないわね
オメガ:つまりサンタはヘンタイっ!危険人物なら排除する!
サリ:早まってはいけません!
サリ:サンタ様というのは子ども達に夢を与える存在です!
オメガ:使い古した靴下をたくさん集めるヘンタイなのに……?
サリ:決してそのような不謹慎な方ではないと……
サリ:……きっと……おそらく……
ハント:お前も半信半疑じゃないか
ハント:そもそも犯人がこの世界のサンタだと決まったわけでもないだろう
カリン:あ、あのね、みんな……?誤解してるみたいだけどサンタが古い靴下好きなのは――
オメガ:ヘンタイサンタ、許せない!排除する! オメガ、ゴー!
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カリン:モンスターの様子はどう?
ハント:やはり何かしらの影響を受けている様子だった
カリン:仮説は間違いなさそうねそれで、素材は手に入った?
オメガ:202500111
ミサ:24
カリン:次に必要なのは呪霊草…なんだけど…
ハント:何か問題があるのか?
ミサ:呪霊草が自生してる場所ってモンスターの群生地でもあるのよ
サリ:41
オメガ:それならモンスターを倒せばいいだけ!
ミサ:でも、モンスターたくさんいるって…
ハント:数が多いのか
サリ:沙璃達でどうにかできるでしょうか
ミサ:やっぱり無理だよね…
オメガ:3
オメガ:オメガ達、強い!敵、たくさんいても大丈夫!
ミサ:本当に平気…?
サリ:そうしなければ呪霊草は手に入らないんですよね?
ミサ:…うん。モンスターをやっつけないとダメなの
カリン:お願いできるかな?
オメガ:1
カリン:10
chattalk_51030207
ハント:これで一段落だな
オメガ:邪魔するやつ、みんなやっつけた!
サリ:どうにかできてよかったです…
カリン:24
サリ:これで呪霊草を採りに行けますね
ミサ:モンスター達を倒せるくらいに強いし
ミサ:お姉ちゃん達なら平気だと思うけど気をつけてね
サリ:3
オメガ:18
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オメガ:29
オメガ:202500121
カリン:30
ハント:これがそろったら追跡に必要な薬を作れるんだろう?
カリン:ええ、お疲れ様気を付けて帰ってらっしゃい
サリ:4
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カリン:ご苦労様これで薬が作れるわ少し待ってて!
-:カリンは魔力の痕跡を追うための魔力追跡薬の製作に入った。
-:そして数十分後――
カリン:……できたわ!これで犯人の魔力の痕跡を追えるはず!
サリ:そちらはどのように扱う物なのですか?
カリン:この薬に魔力を流し込んで空気中に拡散させるの
カリン:そうすれば薬の成分が周囲のエーテルと反応を起こして魔力の出処を探ってくれるはず
オメガ:カリン、すごい!
サリ:ではさっそく犯人を捜しましょう
カリン:ええ――始めるわよ
-:カリンは追跡薬に魔力を流し込みその効力を発動させる。
-:みるみる蒸発した薬は周囲に広がっていくが――
カリン:ふぅ……――みんな、ごめんなさい
カリン:犯人の魔力量が予想よりも少なくて痕跡がほとんど残ってないのあれから時間も経ちすぎていて……
オメガ:……犯人の場所わからなかったか?
カリン:大まかな方角程度ならどうにかけれど、詳しい場所までは……本当にごめんなさい
サリ:カリン様のせいではございませんからですが、別の追跡手段を考えなくてはいけませんね……
ハント:…………
サリ:――ハント様?
ハント:なぜ犯人は、新しい靴下ではなく使い古したものを奪ったんだ?
ハント:やはり……目的は匂いか?
ハント:……だとしたら別の靴下を囮に使えば犯人をおびき寄せられないか?
ハント:我ながらいささか短絡的だが試してみる価値はある……!
サリ:ハント様、先ほどから難しい顔をしていますが……大丈夫ですか?
ハント:沙璃、頼みがあるんだ
サリ:え? どのようなことでしょう?
ハント:今、履いている靴下を僕にくれ
サリ:…………
サリ:よく聞こえませんでした
ハント:お前の脱ぎたての靴下をくれと言った
サリ:なぜ真剣な顔でそのようなことを?
ハント:真剣だからだ早く脱いでくれ
サリ:今履いている靴下を脱いで手渡せということですか?
ハント:そうだ。できれば両方の足のを頼みたい
サリ:それは沙璃への宣戦布告と受け取ってよろしいですね?
ハント:なぜだっ!?
サリ:……わからないんですか?
ハント:全くわからないんだが?
サリ:これは、すでに手遅れだということでしょうか……
ハント:手遅れ……?いや、まだ間に合うはずだ!
サリ:沙璃には、やはり手遅れとしか思えません……
ハント:……よくわからないが靴下はもらえないんだな?
サリ:当然でしょう!?嫌です、ダメです、渡せません!
ハント:そ、そうか……
ハント:そこまで嫌なら無理強いはしないオメガ、お前の靴下でいい
サリ:ええっ!?
オメガ:オメガの靴下ほしいのか?
ハント:ああ、靴下を脱いでくれ今すぐにだ!
サリ:オメガ様、お逃げください!
オメガ:わかった、脱ぐ
サリ:オメガ様もそんなあっさりと!?
オメガ:靴下を脱ぐだけ沙璃はどうしてそんなに慌ててる?
サリ:そ、それはその……
サリ:あまりよくないといいますかそういう趣味があるということを否定するつもりではないのですが
サリ:今はそういうことをしている場合ではないと思うのですがごにょごにょ……
オメガ:沙璃、早口すぎて何言ってるのかよくわからない
サリ:で、ですから……
オメガ:ハント、これでいいのか?
ハント:悪いな、オメガ
オメガ:これくらい、簡単なこと気にしなくていい
サリ:ああ……!
オメガ:ハント、靴下で何をする?
ハント:もちろん、こうするんだくんくん……すぅ、はあ……
サリ:ハ、ハント様っ!?な、何をしているんですかっ!!
ハント:匂いを嗅いでいるだけだが?
サリ:に、匂いを嗅いでって……
ハント:だが……だめだ、匂いがしない!これでは使い物にならないっ
サリ:ああ……ハント様がご乱心を……!よもや、よもや……!
オメガ:どうした、沙璃さっきからおかしいぞ?
サリ:オメガ様、お耳をかしてください
サリ:ハント様の症状ですが……
サリ:すでに完全に手遅れなのだとわかりました
オメガ:手遅れ……?
サリ:この事件の犯人と同類だと言うことです
サリ:犯人がかもし出すヘンタイ的な何かに当てられてしまったのかもしれません
オメガ:……っ!?
ハント:何をこそこそ話しているんだ?
オメガ:……ハントもヘンタイ排除する
ハント:な、なぜだ!?
サリ:胸に手を当てて自分のしていることを思い返してください
ハント:自分のしていることだって……?
オメガ:オメガの靴下くんくんしてた
ハント:そうだ、僕はただ靴下の匂いを嗅いでいただけだ!
サリ:それをヘンタイと言うのですっ!
オメガ:仲間がヘンタイになったら叩いて直す、仕方ない!
ハント:僕は壊れた家電じゃないぞ!
カリン:あー、2人ともそれくらいで
サリ:なぜ、止めるんですか?
サリ:今ここで排除しておかないと新たな犠牲者がでるかもしれません
カリン:靴下が必要なのは犯人をおびき寄せる囮にするつもりだったんじゃない?
サリ:はっ……!?
ハント:他に何の目的があるんだ?
オメガ:ハント、だったらどうして自分の靴下、使わない?
ハント:狩人は常に体臭に気を付けている僕の靴下では効果が望めない
サリ:……沙璃達の靴下は匂いがすると言うのでしょうか
ハント:オメガはアンドロイドだからかそもそも匂いがなくてダメだな
サリ:…………
ハント:沙璃、まるで敵を見るような目をしているが、どうしたんだ?
カリン:わかった、わかったからっ!
カリン:私の靴下使っていいからっ
-:その後、カリンの靴下を囮にして様子を見てみるも結局、犯人は現れなかった。
ハント:……そう都合良くはいかないか
カリン:残念なような……安心したような……
ハント:ひとまず策を練り直そう……沙璃、オメガなぜそんなに遠くにいる?
サリ:知りません……!もう!
オメガ:……ヘンタイ
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-:追跡薬の完成から数時間後――沙璃達は犯人の手掛かりを探し続けた。
-:しかし、芳しい成果は何ひとつ上がらず……
カリン:やっぱり手掛かりひとつ見つからないみたいね
カリン:大まかな方角だけわかったところで隠れられちゃ探しようもないし……
サリ:ずいぶんと狡猾なヘンタイですね
オメガ:ヘンタイ、やっつけられないそれは困る……
ミサ:こっちも何もなかったよ~……
ミサ:……やっぱり靴下もう見つからないのかな
サリ:美佐様……
オメガ:美佐も他の子ども達もみんな悲しそう……
カリン:一年に一回だけの楽しみだもの……無理もないわ
サリ:そういえば、ハント様はどこへ?先ほどから姿が見えませんが
カリン:さっきふらっとどこかへ出かけたきりね
オメガ:ヘンタイの仲間になった?
サリ:靴下のこともありますし強く否定できません……うぅ……
ハント:いや、それは否定してくれ
オメガ:ハント、戻ってきた!
サリ:どこで何をされていたんですか?
ハント:犯人の根城を突き止めた
カリン:え? どうやったのっ!?
ハント:これを辿って行ったんだ
サリ:ハント様の手から伸びているのは……糸、でしょうか?
ハント:特性の絹糸だこいつを辿った先に犯人は潜んでいる
オメガ:ハント、犯人わからないのにどうやって糸つけた?
ハント:町中から古い靴下を譲ってもらったそれを集めたんだ
オメガ:ハント、やっぱり本当はヘンタイなのか?
サリ:おいたわしや……
ハント:しつこいぞ!
ハント:集めた靴下すべてに糸を繋いでそこらじゅうに仕掛けた
サリ:……なるほどそのうちの一足が犯人に盗まれ……
カリン:極細の糸に気付かないまま住処まで持ち帰ったってことね
ハント:そうだこの糸が伸びる先におそらく犯人はいる
オメガ:犯人、捕まえる!
サリ:これ以上、ヘンタイ的な行為を広げさせないためにも
ハント:……僕は別に靴下やその匂いが好きなわけじゃないからな?
サリ:なんとしても犯人を捕まえましょう!
オメガ:ヘンタイは撲滅する!
ハント:僕は変質者じゃないって2人ともわかっているよな?
カリン:大丈夫なんじゃないかしら……たぶん
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オメガ:アイツがこの世界のサンタ……?
サリ:見た目だけならばサンタだと言えなくもないでしょうか
オメガ:子ども達の古い靴下を盗むヘンタイ?
ハント:なぜ僕を見るのか知らないが……ヤツが犯人なのは間違いなさそうだ
サリ:……すごい威圧感ですあのモンスター、やはり魔法を駆使するようです!
サリ:手強そうではありますが――子ども達の心を傷付けた報い受けていただきます!
ハント:僕に対する謂れ無き誤解を解くためにもな
サリ:…………
オメガ:…………
ハント:……2人とも、靴下の件は誤解だとわかっているんだよな?
サリ:も、もちろんですともっ
オメガ:ハントがヘンタイでもオメガは仲間だから!
ハント:…………
ハント:お前のせいで……今の僕はかつてないほど本気だ
ハント:覚悟してもらおうか!
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サリ:お仕置き完了です
オメガ:オマエ、どうして靴下盗んだ?ヘンタイだからか?
ハント:それとも、巣材にでも使うつもりだったか?確かに保温性は高いだろうが……
-:こらしめられたモンスターはただ黙って悲しそうにしている。
サリ:あの……オメガ様、ハント様?沙璃の予想なのですが……
サリ:あのモンスターの格好もそれにこのダンジョンの装飾もクリスマス一色ですよね?
ハント:そこらじゅうから魔法で取ってきた物だろうなそれがどうしたんだ?
サリ:もしかしてこのモンスターはクリスマスが大好きで……
サリ:靴下を奪ったのは……サンタ様からプレゼントをたくさんもらうためなのでは?
-:沙璃の言葉を理解したのかモンスターは大きな体をぶんぶんと縦に振った。
ハント:頷いているようだな……
サリ:魔法を扱うだけあって頭が良いようですね
オメガ:オマエもサンタからプレゼント欲しかったのか!
-:モンスターはふたたびぶんぶんと大きく頷いた。
サリ:ぶんぶん! ……ではありませんサンタ様は良い子の所へしか来ないのですよ?
サリ:こんなふうにみんなに迷惑をかける人の所に来てはくれません!
-:沙璃のお説教にモンスターは力なくうなだれた。
オメガ:しょんぼりしてる……でもオメガも気持ちわかる
オメガ:オメガも、それに美佐達もサンタに来てほしい
サリ:子ども達も同じ気持ちだったんです貴方はかしこいようですから……それはわかりますね?
-:モンスターは申し訳なさそうにぺこぺこと頭を何度も下げる。
サリ:……反省しているみたいですね
ハント:……だが、やったことの責任は取ってもらう必要がある
サリ:ハント様、許してあげることはできないでしょうか?
オメガ:……オメガも許してあげたい!
オメガ:誰もケガさせてないもう二度と盗まないって約束した!
ハント:…………
ハント:……見逃すのは今回だけだ
オメガ:良かったな、オマエ!
サリ:来年はプレゼントがもらえるよう良い子にしてなくちゃ駄目ですからね?
ハント:……今年のお前にはこいつで充分だ
-:そう言ってハントは懐から取り出したお菓子をモンスターに投げ渡した。
-:モンスターは大喜びでハントからもらったお菓子をむしゃむしゃと平らげる。
オメガ:ハントずるい! オメガも!オメガのもあげる!
ハント:終わったら靴下をかき集めてさっさと出ようここは寒くてかなわない
サリ:ありがとうございます、ハント様……あの子を許してくれて
ハント:……これは貸しだぞ?
サリ:あら、怖いですねいつかお返しできると良いのですが
オメガ:ハントはヘンタイじゃないってちゃんとみんなに話しておく!
ハント:お前はそれを引っ張りすぎだ!
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オメガ:……結局、靴下ぜんぶ集められなかった
ハント:ダンジョン内で散り散りになっていたからなとても集めきれない
ハント:他にも魔法を使えるモンスターがダンジョン内にいるんだろういずれ取り返さないとな
サリ:それにしてもハント様……今回の一件、いつになく熱意に満ち溢れていましたね
オメガ:ハントいなかったら靴下取り戻せなかった!
オメガ:そんなに靴下、欲しかったのか?
ハント:いつまでそんなことを……いや、もうそれでいい
サリ:ふふっ、本当は子ども達のため……ですよね? ハント様
ハント:根拠もなしに言うな
サリ:いいえ最初に靴下が飛んでいった時……
サリ:悲しそうにしている美佐様達を見つめていたハント様の瞳がとても優しかったんです
ハント:……なんのことだかな
サリ:ふふ、そういうことにしておきます
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-:帰ってきたハント達は取り戻した靴下をカリンに渡し事件の真相を説明した。
カリン:そういうことだったのね……
ハント:魔法を使うモンスターはやはり珍しいのか?
カリン:もちろん珍しいわよでも前例がないわけじゃない
カリン:魔力の源になるエーテルって時期や環境で変質するのよ
サリ:海流や季節風のようなものでしょうか
カリン:そういうことこの時期にだけ魔法が使えるような特殊なモンスターだったのかもね
カリン:ともあれ、ひとまずお疲れ様靴下、取り返してくれてありがとうね
オメガ:だけど、全部は取り戻せなかったごめんなさい……
ハント:思ったよりダンジョンが広かったんだモンスターも、僕らが退治した1匹だけではないはずだ
カリン:いえ、貴方達はよくやってくれたわほら、美佐も悲しそうな顔しないで
ミサ:……うん、みんなありがとうでも、プレゼントもらえない……
サリ:美佐様の靴下も探し出せなくて……力及ばず、申し訳ございません
オメガ:靴下、戻ってこなかった子ども達みんな悲しそう……
ハント:楽しみにしていたプレゼントをもらえないかもしれないんだ無理もない
サリ:どうにかできないでしょうか?
カリン:ねえ、貴方達に頼みたいことがあるんだけど……
-:――そうして数時間後。予定よりも少し遅れてクリスマスパーティが始まった。
-:しかし靴下が戻ってこなかった子ども達の表情はやはり暗くパーティ会場には暗い雰囲気が広がっていた。
オーキュー子ども1:はあ……やっぱり今年はサンタさん来ないのかな
オーキュー子ども2:来るはずねえよ……だって俺の靴下はもう……
ミサ:……そういえばお姉ちゃん達は?どこ行っちゃったんだろ
カリン:はいはい、みんな注目ー!
カリン:落ち込んでるみんなのためにスペシャルなゲストが来てくれたよー!
ミサ:ゲスト?誰だろ……?
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サリ:み、皆様~……
サリ:この一年良い子にしていた子ども達に……その……あの……
オメガ:沙璃、がんばる!
サリ:は、はいっ!
サリ:沙璃が、サ、サンタ様からプレゼントを預かってきました!
サリ:め……メリークリスマス!……ですっ!
ミサ:……わぁっ!沙璃お姉ちゃんのサンタさんだぁ!
-:プレゼントを諦めかけていた子ども達の歓声が広がった。
-:子ども達は沙璃の周りに群がり嬉しそうにプレゼントを受け取っていく。
サリ:うぅ~……まさか本当に着ることになるなんて……
カリン:毎年、私がサンタ役になってこっそり子ども達の家を回ってたんだけどね
カリン:せっかく貴方達がいるんだものたまにはこういう趣向も悪くないわ
オメガ:沙璃、可愛い!
ハント:そうだな、よく似合ってる
カリン:ごめんね、無茶なお願いしてでもとっても綺麗よ
サリ:そう言っていただけるのは嬉しいですけれど……恥ずかしいです……
サリ:最初にサンタ様役を頼まれたのは事件を解決したハント様だったのに……
ハント:言っただろう、貸しだとさっそく返してもらったぞ
サリ:いじわるです……
カリン:もし、またあのダンジョンに入るなら、クリスマスらしい格好をすると良いかもしれないわね
カリン:クリスマスが大好きなモンスター達がきっと喜んで飛びついてくるわよ?
ハント:――だそうだ、沙璃奪われた物を集めるならその方が効率が良さそうだな
サリ:つ、次はハント様の番ですからねっ!
ミサ:でも、靴下がないのにどうしてプレゼントがあるのかな?
ミサ:だってサンタさんは靴下が好きなんでしょ?
ハント:サンタがプレゼントをくれるのはきっとそういうことじゃない
ミサ:違うの?
ハント:古い靴下が好きだからじゃなく物を大切に使ったご褒美にプレゼントをくれるんじゃないか?
ミサ:あっ! そっかぁ……そうなんだぁ……!
サリ:たとえ靴下がなくても……皆様がいい子で1年過ごしたのをサンタ様はきっと見ていたのでしょう
カリン:そういうことねわかったら次のクリスマスまでみんないい子で過ごすこと!
オメガ:そういうことだったのかオメガも、物を大切にする!
ミサ:私だって大切にするよっ
サリ:さて、ハント様、オメガ様沙璃達もパーティを楽しみましょう
ハント:任せろ新鮮な獲物で作ったクリスマス料理を特別に振る舞ってやる
オメガ:オメガも手伝う!メリクリ! メリぱに!
-:かくして、サンタへの謂れなき疑惑を無事に解消した子ども達(とオメガ)。
-:明るさを取り戻した子ども達と共に一行はクリスマスパーティを堪能するのだった。